HERITAGE VEGETABLES

山形の伝統野菜

県内で確認された在来作物は約160種。「食の至宝」85品目を抱える伝統野菜の宝庫をめぐる。

山形県は在来作物の宝庫です。山形在来作物研究会の調査で県内には約160種類の在来作物が確認され、うち85品目が県の「食の至宝雪国やまがた伝統野菜」に認定されています。だだちゃ豆や温海かぶのような全国区の顔から、ひとつの集落・ひとつの家だけが種をつないできた野菜まで、どの品目にも土地と人の物語があります。

焼畑でかぶを育て、雪の下で菜を軟白し、家宝の種芋を一子相伝で冬越しさせる。雪国の知恵が生んだ栽培法ごと受け継がれてきたのが山形の伝統野菜です。ウィキには88品目を収録済み。産地の集落名から来歴まで、食べる前に知るともっとおいしくなります。

なぜ山形にこれほど残ったのか。豪雪の山里、盆地、海沿いと気候風土が地方ごとに違い、そのそれぞれで「種は家の財産」として自家採種が続いたからだと言われます。山形大学農学部を中心とする山形在来作物研究会が掘り起こしと保存を牽引し、在来作物と種をつなぐ人々を描いたドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』(2011年・渡辺智史監督)が全国にその価値を知らしめました。この食文化の蓄積は、鶴岡が2014年に日本初のユネスコ食文化創造都市に認定される土台にもなっています。

楽しみ方は旬で選ぶのがおすすめです。春はうこぎ・小笹うるい・ひろっこ、夏はだだちゃ豆・民田なす・薄皮丸なす・外内島きゅうり、秋は悪戸いも・もってのほか・馬のかみしめ・温海かぶ、冬は雪菜・山形赤根ほうれんそう・小野川豆もやし・山形青菜。下の「88品目リスト」から気になる名前をたどれば、それぞれの物語に会えます。

物語のある野菜たち

枝豆の王様・鶴岡白山が本場

だだちゃ豆

「だだちゃ」は庄内弁でお父さんの意。茹でる香りが集落に満ちる夏の風物詩。

鶴岡市

焼畑栽培・400年の歴史

温海かぶ

一霞地区の山の斜面を焼いて育てる赤かぶ。あつみ温泉名物の甘酢漬けに。

鶴岡市

室町時代から一子相伝

甚五右ヱ門芋

真室川・佐藤家が400年以上つないできた家宝の里芋。種芋の冬越し法は門外不出。

真室川町

雪の中で育つ米沢の冬野菜

雪菜

雪中で軟白された花茎を食べる全国でも珍しい野菜。ふすべ漬けが定番。

米沢市

芭蕉も出会った小なす

民田なす

鶴岡・民田地区の丸い小なす。「めづらしや山をいで羽の初茄子」と詠んだと伝わる。

鶴岡市

赤い根が甘い冬の味

山形赤根ほうれんそう

根元の赤が濃いほど甘い山形の冬菜。寒さに当たって糖度を増す。

山形市

芋煮の名脇役

悪戸いも

山形市悪戸地区の里芋。ねっとりきめ細かく、芋煮会シーズンに引っぱりだこ。

山形市

庄内の在来きゅうり

外内島きゅうり

鶴岡・外内島集落で受け継がれてきた、皮が薄くみずみずしい夏の味。

鶴岡市

地漬け用の小さな大根

花作大根

長井市花作町の硬く締まった小大根。歯ごたえの良い漬物になる。

長井市

大粒・赤紫・春まで保つ

最上赤にんにく

1球100g前後の大粒種。焼くとほくほく甘く、貯蔵性に優れる最上の底力。

最上地域

楢山集落の選抜枝豆

神代豆

鮭川村曲川楢山で「なっしょ豆」から風味の良いものを選び抜いた一品。

鮭川村

2023年復活・2025年認定

赤湯なんばん

一度途絶えた南陽の唐辛子を新たな生産者が復活させた、いちばん新しい伝統。

南陽市

焼畑の山かぶ・映画の象徴

藤沢かぶ

山の斜面を焼いて種を播く焼畑かぶ。『よみがえりのレシピ』で全国に知られた復活の象徴。

鶴岡市

温泉熱栽培・江戸初期から

小野川豆もやし

小野川温泉の熱で育てる20cm級の豆もやし。大正に結成された組合の共同生産が今も続く冬の名物。

米沢市

温泉が育てる冬の薬味

小野川あさつき

辛味少なく、茹でるとシャキシャキ。ひげ根付きで出荷される1〜3月だけの味。

米沢市

鷹山公奨励・食べる生け垣

うこぎ

米沢の垣根はおかずになる。ほろ苦い若芽をうこぎご飯や天ぷらに。

米沢市

種皮が鮮やかな紅色

紅大豆

川西町の紅い大豆。糖度が高く、煮豆から味噌・スイーツまで広がる置賜の宝石。

川西町

食用菊の王様

もってのほか

淡い紫の花びらをおひたしや和え物に。シャキシャキの歯ごたえがごちそうの、秋の食卓の華。

全県

鮮やかな赤紫のねぎ

平田赤ねぎ

酒田・平田地区の在来赤ねぎ。加熱すると甘みが増してとろり、鍋の主役になる。

酒田市

旧家の屋号を継ぐきゅうり

勘次郎胡瓜

明治に鮭川から真室川・差首鍋へ。黄緑色でずんぐり、水分たっぷりの柔らかさ。

真室川町

皮がきわめて薄い丸なす

薄皮丸なす

米沢周辺の小さな丸なす。浅漬けのパリッとした食感は置賜の夏の定番。

米沢市

青菜漬の主役

山形青菜

「せいさい」とも呼ぶ大型の漬け菜。シャキッとした辛みの青菜漬は冬のご飯の相棒。

全県

蔵王山麓の在来かぼちゃ

蔵王かぼちゃ

濃緑の皮にホクホク甘い黄色の果肉。貯蔵がきく冬の栄養源として重宝されてきた。

蔵王山麓

馬の歯形がつく豆

馬のかみしめ

長井の在来枝豆。一時は絶滅したとも言われ、彼岸過ぎのわずかな期間だけ味わえる。

長井市

山形の伝統野菜マップ

ピンは産地集落の近似位置です。畑は個人の農地なので、味わうなら直売所・道の駅・認定レストランへ。

モデルコース

庄内・在来野菜のふるさとコース

交通:車所要:半日

鶴岡はユネスコ食文化創造都市。在来野菜の集落をたどり、味は直売所と食事処で。移動時間は目安です。

  1. 1

    鶴岡駅を出発

    駅前の産直や「つるおか食文化市場FOODEVER」で予習を。

  2. 2

    移動 車 約10分

    民田なす・外内島きゅうりの里

    市街地東側の集落地帯。芭蕉ゆかりの小なすの産地を車窓から。

  3. 3

    移動 車 約10分

    だだちゃ豆の本場・白山

    夏は集落中に茹で香が漂う枝豆の聖地。直売所は夏季限定。

  4. 4

    移動 車 約15分

    藤沢かぶの山里

    焼畑の山かぶの里。『よみがえりのレシピ』の舞台のひとつ。

  5. 5

    移動 車 約40分

    あつみ温泉でゴール

    一霞の焼畑でつながれてきた温海かぶの甘酢漬けを土産に。(温泉街散策 約1時間)

置賜・雪と豆の食文化コース

交通:車所要:半日

雪が育てる野菜と豆の文化圏・置賜をめぐる。冬は雪菜、秋は豆と大根が主役。移動時間は目安です。

  1. 1

    米沢・上長井の雪菜の里

    雪中軟白という世界でも珍しい栽培法。ふすべ漬けは冬の米沢の味。

  2. 2

    移動 車 約15分

    うこぎの垣根の町並み

    上杉鷹山が奨励した「食べられる生け垣」。かき揚げやうこぎご飯に。

  3. 3

    移動 車 約25分

    川西・紅大豆の里

    鮮やかな紅色の大豆はスイーツにも展開。道の駅で加工品を。

  4. 4

    移動 車 約20分

    長井・花作大根の里

    地漬け用の小さな大根の里。あやめ公園とセットで。

  5. 5

    移動 車 約20分

    南陽・赤湯でゴール

    復活した赤湯なんばんと、赤湯ラーメンの辛みそをはしご。(温泉街散策 約1時間)

村山・最上 たねの旅コース

交通:車所要:1日

県都の里芋から一子相伝の家宝芋まで、内陸をさかのぼる種の物語。移動時間は目安です。

  1. 1

    山形市・悪戸いもの里

    芋煮の名脇役の産地を車窓から。市内の直売所で秋は悪戸いも、冬は山形赤根ほうれんそうを。

  2. 2

    移動 車 約50分

    大石田・次年子集落

    山あいの雪深い里で次年子かぶ・次年子かぼちゃ。板そば文化の里でもあり昼は名物そばを。(昼食込み 約1時間30分)

  3. 3

    移動 車 約30分

    新庄・最上赤にんにくの里

    大粒で赤紫、焼くとほくほく甘い最上の底力。産直まゆの郷などで。

  4. 4

    移動 車 約25分

    真室川・甚五右ヱ門芋と勘次郎胡瓜

    室町から一子相伝の家宝芋と、旧家の屋号を継ぐきゅうりの里でゴール。

在来野菜 88品目リスト

ウィキ収録の88品目(県の「食の至宝 雪国やまがた伝統野菜」認定品目を中心に)。名前をタップすると各品目のウィキが開きます。

村山(15)

最上(30)

置賜(22)

庄内(17)

全県

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