ヤマガタンver9 > 年相応の生き方

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▼年相応の生き方

5月の連休に孫に風邪をうつされた妻から小生も感染しました。もう10日近くたつのに、昨日は咳がひどくて眠れませんでした。コロナの抗原検査を2回していずれも陰性でしたので、外来診察中に咳が出ると、患者さんに「コロナではありません。」といちいち言い訳をしています。白鷹の地にきて26年、自分の病気で休んだことは一度もありませんでしたが、年を取ってくると、いつその記録が途絶えてもおかしくない気がしています。
 当みゆき整形外科にはMRI装置があります。MRI検査は磁石の強さを変えて、同じ部位の画像をいくつか撮るのですが、脊椎のMRI検査のある条件下では、若い人の椎間板の中は白く映り、年を取ると黒く映るようになります。外来で脊椎MRI検査の説明をする時に、「若い人の手と年寄りの手を比べるとどちらが若い人の手かすぐにわかるでしょ。それと同じで黒くなるのは仕方がないのですよ。」と言って自分の両手を患者さんに見せた時に、「俺の手は年寄りの手だなー。」と、つくづく感じるようになってきました。
 小生は、年を取ると外見や、身体機能が次第に落ちていくのを患者さん達からいやというほど見せつけられているので、当たり前と思っているのですが、「年を取ったからそうなりやすいのですよ。」と言うと、異常にがっかりして、ショックを受ける方と、「そんなはずはない。」と何の根拠もなく自分はまだまだできると思って、医師の意見を否定する方がいます。大方の人は、小生のいう事を素直に聞いてくれるのですが、今述べたような方々は、両方とも年々増えてきているように思います。
 文部科学省の調査で体力は、20歳と比較すると60歳で男性は4割、女性は3割5分低下します。体を鍛えていてもそれはあまり変わりません。また、「筋肉はいくつになっても付く!」などとテレビが言っているのを見て信じている人が結構多いですが、40歳の人の筋肉量を100とすると80歳で4割低下することが分かっています。特に60歳代から低下のスピードが増加します。60歳以上の人が「筋肉をつける!」と頑張っても40歳代、50歳代の筋肉量にまでは増えないのです。また心臓が脈を打つ速さの能力の最大数は出生直後が最大で、その後直線的に低下します。つまり年とともに心臓は高回転で体に血液を循環させることができなくなってくるのです。年寄りが運動をして、脈が100を超えると狭心症や、心筋梗塞になる危険性が増加します。無駄な努力をして、かえって変形性関節症になったり、そのせいで心臓の病気になったのではないかという人を外来でよく見かけます。
 「年相応の生き方をする」。心穏やかに人生を過ごすのにはこれが一番という思いを、整形外科外来を行い、介護老人保健施設での入所者の方々を世話させていただいている小生は、感じています。
 小生は昨年末山道を走れる排気量250ccのオフロードバイクを注文しました。しかし、未だに納車されません。いつ来るかわらないとのこと。「年相応の生き方をしろ。」という神様の無言の指導でしょうか。

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