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▼『仲野好重氏 講演会&シンポジウム』 レポート

『仲野好重氏 講演会&シンポジウム』 レポート/

12月6日(日)に 一般財団法人人間塾、ぷらっとほーむ、クローバーの会@やまがたの共催で行われた講演会&シンポジウムの様子をまとめました。

講演会&シンポジウム『不登校・ひきこもりと居場所』

第一部は 一般財団法人人間塾・塾長 仲野好重氏の講演会でした。 
〜共に生き、つながる〜という演題でお話しいただきました。


仲野さんが中学・高校時代に生きづらさを抱えて苦しまれていた経験をお聞きしました。なぜ自分は教室にいけないのかと悩むだけでなく、自分が生まれてきた意味の答えが見つからずに、つらい日々だったとのことでした。食事をとらずに生きるのをやめようとして痩せていく姿をお母様が心配されて、お医者様を転々としたとのこと、過去の自分たち親子の姿と重なりました。
何人目かのお医者様から「自分を探しているんだね」と言われ、その頃は思春期特有の自分探しをしていたと振り返っておられました。

学校の先生とのかかわりの中で悔しさが芽生える出来事があり、それが原動力となり一歩踏み出せたという仲野さん、いつしか自分が人とつながった喜びを他の人々に伝えたいという使命感を持つようになったそうです。

完璧な自分でなかったのも私、人生の汚点でも失敗でもなく、すべてが自分の一部。だから今の私が存在できているし、苦しみの中にいる学生たちに寄り添えるのだとおっしゃいました。

殻に閉じこもっている時期も確実に何かを積み重ねていたり、蓄えているときであり、それが次のステップにつながるという経験からのお話は、今 不登校やひきこもりの状態にある方やご家族の励みになったのではないでしょうか。

絶望した人としなかった人の違いを、ユダヤ人のヴィクトール・フランクルの著書「夜と霧」からわかりやすく教えていただきました。人生に意味を見出すこと、希望を見出すことが大切なのだとわかりました。
「人生の意味=使命は待っていても落ちてこない、自分で探し求めなければならない、なければ自分でつくりましょう!」という言葉にハッとしました。


「人は自分らしくないことをするとしんどくなる。自分にできることは何か?得意なことは何か?考えてみる。見つからない人はつくること。」という具体的なお話は悩んでいる方の心に届いたことと思います。

うまいことを言われてレールに乗ったところで、その先に花園のような幸せなどはない、自分でレールを敷くのが楽しいのであり、自分で行き着いたところこそが幸せなのだという言葉が心に響きました。

レールを自分で敷いて進もうとしても、もうダメだと思うとき、つまずきそうなときがあるけれど、そんな時こそいつでも立ち寄れる「ぷらっとほーむ」や「親の会」など仲間がいる居場所が必要であるということをお話し下さいました。それをお聞きして、自分たちの活動もこれから細くとも長く続けていきたいとあらためて思いました。
そして、仲野さんがおっしゃったように、その人の人生を深く読み取ったうえで、その人が持って生まれた種の花を咲かせられるような社会であってほしいと私も願うと同時に、自分の使命に生きたいと思った講演会でした。


第二部はシンポジウムでした。
〜私たちは居場所で何を手にしたか?〜というテーマで、パネリストに 大場みのぶさん(経験者)、大原克彰さん(経験者)、松井愛(支援者)、コメンテーターに仲野好重さん、コーディネーターはわたくし樋口愛子で開催しました。


第二部の前に仲野さんの講演を聞いての質疑応答の時間を設けさせていただきましたが、その中でとても印象に残った言葉がありました。
それは「生まれもった性格は変えられないのでしょうか?」という参加者の質問に対しての仲野さんの「気質(芯の部分)は変えられないが、性格は変えられます」という答えです。
芯のまわりの性格を構成する部分は環境で作られるので、使命感に気づいて変えようと自分が努力していくことで可能であるというのです。あじさいは環境で花の色が変わるように、人間もよりよく生きたいと思うことで、環境によっていかようにもなれるというお話にエネルギーをいただきました。


さて、シンポジウムですがお二人の経験者がどういう苦しさを持ちながら生きてきたのか、周囲の関わりや人とのつながり、そして居場所との出会いについてお話をうかがいました。
お二人と居場所で関わっている松井さんからは、それぞれとのかかわり方だけでなく、日常のフリースペースにどういう見えないしかけをしているか、大切にしていること、ぷらっとほーむという居場所に繋がりやすくするためにさまざまなテーマコミュニティを作っていることなどをお聞きすることが出来ました。


現在、大場さんにとって居場所は、自分を認めてくれる場であり、自分でも気が付かなかった一面を仲間が気付かせてくれる場、課題に向かわせてくれる場、そして何よりいつも笑いがあって活力が得られる場になっているとのことでした。


大原さんにとっては、孤立の苦しさを知っているあたたかい仲間と話すことができる場、自分のやりたいことができる場、自分の思いえがく社会に向かって持っている力を生かしながら活動ができる場になっているとのことでした。


松井さんは、お二人のお話 そして仲野さんの講演から、ぷらっとほーむの価値をこれからも作り続けていかなければならないとおっしゃっていました。


最後に仲野さんから、経験者の正直な語りに胸が熱くなったとの感想をいただきました。

会場は終始 ぷらっとほーむのフリースペースのようにあちらこちらから笑いが巻き起こるあたたかな雰囲気に包まれていました。

さまざまな立場の語りからはたくさんの学びがあったと思います。参加したみなさんがそれぞれに持ち帰り、家庭や職場など日常のどこかで生かしていただければ嬉しく思います。


最後に経験者の大場さん、大原さん、大勢の方の前で経験を語ってくれた勇気に心から感謝したいと思います。



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