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●山と人の物語 vol.7 『苗を植える、その先の30年』
はじめに森を育てる──それは、今を生きる私たちが、まだ見ぬ未来の誰かのために手を動かすことです。伐ったら、植える。それが山を守り、次の世代に引き継ぐという約束。今回は、私たちが取り組んでいる植林と育苗の現場から、「森づくりの未来」と「山に託す願い」をお届けします。植えることは、未来への投資伐採した山に、再び命を戻す作業──それが植林です。斜面に登り、一本ずつ苗を手で植えていく作業は、見た目以上に体力と根気が必要です。根がしっかり張れるように、土の深さや角度を考えて、一つひとつ丁寧に植えていきます。植える間隔や本数、傾斜や日当たりも見ながら、“この山がどう育っていくか”をイメージしながらの作業。今日植えた木が、再び収穫されるのは30年後。自分がその姿を見届けられるとは限りません。けれど私たちは、その時に喜んでくれる人がいることを信じて、今日も苗を植えます。苗を育てる、地域とともに山に植える苗は、育苗ハウスで育てられています。冬の間もビニールハウスの中では、適温を保ち、自動潅水で水を与え、丁寧に管理された苗たちが育っています。苗を育てるということは、未来の森の基礎を整えるということ。私たちはコウヨウザンなどの苗木生産にも取り組みながら、地域の方々と協力し、山と地域を同時に育てるプロジェクトを進めています。ただ木を増やすだけではありません。人の関わりがあることで、その苗一本一本が“役割”と“意味”を持つのです。30年後の森を想像する30年後──今日植えた木が、誰かの手で伐られ、また新しい命に変わっている。それは薪かもしれないし、建材かもしれない。もしかしたら、まだ見ぬ子どもたちの働く場所になっているかもしれません。「この木が育つ頃、私は何をしているだろう」そんな想像が、森と向き合う私たちの背中を押してくれます。山は、長い時間をかけて、人の暮らしを支え、働く場をつくり、そしてまた次の誰かにバトンを渡していきます。おわりに苗を植えるということは、未来に対して「私はここにいた」という証を残すことでもあります。その木が育ち、誰かの役に立ち、また次の苗が植えられる。そんな風に続いていく山の循環の中で、私たちもまた、今という時間を精一杯生きています。次回は、山で生まれる“学び”や“体験”をテーマに、子どもたちや地域とのつながりを描いていきます。どうぞお楽しみに。

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2025.06.01
(C)森の恵み・山師からのお便り

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