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▼川西町大塚熊野神社の赤獅子の事

川西町大塚熊野神社の赤獅子の事/
 大塚の熊野神社の獅子舞の写真が現れた。また資料の整理整頓の効能である。

収集していて整理していなかった写真で、この写真は四代目の獅子頭新調の際に、元総代宅に

保管されていた資料と一緒にあったものだ。

新調された獅子頭と幕の初のお披露目の様子が、カラー写真で撮影され祭典の収支決算などの

関係書類と一緒に残されていた。不明だった獅子頭の年代や作者を突き止めるため閲覧させて

いただき、そして獅子頭や獅子幕その他の見積もり発注の経緯が確認できた。










新調された獅子幕の模様も変更されている。初代の獅子幕には千鳥が染め抜かれ前幕には熊野
神社とあるが、二代目は熊野山、獅子頭の後部タテガミの部分にはタテガミをデザインされた
形に変わっている。




 その中で昭和56年に初代獅子頭の修理を行い、昭和60年に獅子頭と獅子幕の新調した。獅子

頭は渡部亨氏の獅子で昭和60年の獅子舞の写真と思われる。彫師の亨氏の名前は確認できなか

ったが獅子頭を仲介した長井の渡部武氏の名前は見受けられた事も、亨氏の作である事の要因

でもある。この時期、渡部武氏は西置賜各地の神社の獅子頭の営業を行なっていた。

初代の獅子頭の新調された記録は不明だった。






左が初代の獅子
 



 初代の獅子頭と酷似した獅子頭が同町 吉田地区八所神社に所蔵され、吉田の大工 島貫弘志氏と

推測している。また大塚熊野の獅子も嶋貫氏の作と見ている。大塚熊の初代と亨氏作の二代目の

獅子は、上手に写し取られ一見して、区別が付かないが細部の造りや、タテガミやヒゲの取り付

け方や塗りが異なる。

 初代のタテガミは眉の直ぐ上に一列植えて顔を隠し、残りは脳天の半球の周辺に植えている。

二代目は脳天半球周辺の白鷹型で、亨氏は鮎貝若宮八幡の獅子頭を制作している。初代のヒゲに関

していは、鼻の下を中心に両唇の半分まで広がって島貫氏の手法でもあり、亨氏は総宮型の植え方

だ。初代の獅子の仕上げ塗りが特殊で、眉毛や目の周りの赤の他に金箔を貼った後、飴色の透ける

カシューを塗る技法を用いている。

 二代目はブロンズ金の上に吹き付け、暗い赤を重ねた技法の様に思える。島貫氏は神輿の制作も

行い、塗りの技法の知識も豊富な塗師を知っていたのだろう。



初代獅子頭の軸棒

握り棒も初代と二代目も異なり、初代は無塗装の角棒で、二代目は塗装された丸棒を総宮型に造ら

れている。



亨氏の作の軸棒

宮内熊野神社の旧の七夕に展示された獅子頭に、蒔絵を施した島貫氏作の獅子頭を見つ

ける事ができる。



宮内熊野神社の旧七夕獅子頭展に展示の島貫氏作と思われる獅子頭



 獅子頭は渡部亨氏作の獅子で塗り直しされ記名は消されている。時代性や塗り方から修理は西大

塚の金子豊夫氏が手掛けたのだろう、残念ながら記名を重要視する様な考え方は無かったと思われ

る。



 四代目獅子頭新調の際、熊野神社拝殿で歴代の獅子頭や獅子幕、太鼓台、化粧廻し拝殿内の奉

納札などを調査していた。その際、関係者の方々も詳細不明の宇津権九郎型の破損した獅子頭が出

てきた。




全国に数多く見られる獅子頭で、海外で制作されたものと推測しているが、寄付されたものだろう

か? それにしては痛く破損し顎が欠損し使用感が半端無い。獅子舞は隣の西大塚八幡から習ったと

され「舞獅子保存会」として獅子舞を行う以前に、神輿の露払い獅子の様な獅子舞の無い厄払いだ

けの獅子が存在していた時代があったようだ。その時の獅子頭の可能性が有る。


飯豊町小白川の彫師 五十嵐藤二氏の作の獅子頭と新しい獅子幕のお披露目記念撮影







獅子舞・笛・太鼓若連から昭和52年7月19日「舞獅子」に改名と記名されている




川西町の獅子頭のタテガミの延長の様に、白い布地や麻の紐や繊維で作った物を取り付ける

習慣が残っている。網の様に縦と横を組み、繋ぎ目に繊維の束を放射状にほぐした物をタテガミに

見立ててている。


布地のタテガミが付けられている


結衣袈裟風のタテガミに変更

修験の名残、山伏の衣装にポンポンの様な丸い物がつけてある襟「結衣袈裟」

(ゆいげさ)で、西大塚八幡、大塚熊野、東大塚羽山、朴ノ沢熊野で記憶しているが、川西町の他

の地区でも伝統になっている、が長井市や飯豊町では見かけない。



右上 四代目渋谷獅子 左中 渡部 亨獅子 下 金子豊夫の作



2023/02/26 07:22 (C) 獅子宿燻亭10
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