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▼種子消毒・再送

 まだ間に合います。「もし、あなたが稲作農家の友人でしたら、ぜひ、この文章を最後までお読みください。そしてお届けください。」
こんな書き出しで始めた「コメの種子消毒」とその廃液についての一文を覚えておいででしょうか?春、全国の河川に大量に廃棄される、魚毒性が極めて高い廃液。今年もこれから始まります。農家、生協関係者など、おられたならぜひ下の文章を転送してください。今ならばまだ間に合います。1年前と同じ文章の再送です。
以下
 
 春。なんといっても我が家は米の生産農家だ。雪解けと同時に気持ちは高ぶり、田んぼに向かう。
作業の手始めは種籾の消毒作業だ。種籾に付着している「いもち病」、「バカ苗病」などの雑菌を退治する重要な仕事で、この作業をおろそかにすれば、苗の生育にダメージを与えるだけでなく、秋の収量にも大きく影響する。このため、多くの農家は完璧を求めて農薬を使っているが、我が家では30年ほど前からそれをやめ、薬によらない方法でおこなっている。
 それは「温湯法」と呼ばれている方法で、モミを60℃の温度に10分間浸すだけの簡単な方法だ。60℃という温度は生玉子が白く固まり、ゆで卵に変質していく温度。種にとっても危険な温度なのだが、漬け込む時間を守りさえすれば、ほとんど農薬使用と同じぐらいの効果を上げることができる。更にこの方が農薬代はかからないし、使用後の廃液に頭を悩ますことも環境を汚すこともない。私がこの方法に改めたのはある事件がきっかけになっている。その事件とはこんなことだ。
「チョット来てみてくれ。大変なことになった。」緊張した表情で我が家を訪ねてきたのは近所で同じ米づくりをしている優さんだった。急いで行ってみると優さんの池の鯉がすべて白い腹を上にして浮いていた。その数、およそ60匹。上流から種モミ消毒の廃液が流れてきて我が家の池に入ったに違いないと優さんはいっていた。こんなことになるとは・・それらの鯉は優さんが長年かけて育てて来た自慢の鯉だった。
 農薬の袋には、魚に対する毒性があるので使用後の廃液は「適正に処理するように」と書かれている。農協も、河川に直に流さず、畑に穴を掘り、そこに浸透させるようにと呼びかけていた。でも、畑に捨てたら土が汚染し、浸透させれば地下水だって汚れかねない。また浸透させたつもりでも雨が降って、再び表面水となり流れ出すことだって充分考えられる。たいがいの農家は廃液を自分の農地の下流に捨てていた。一軒の農家の下流はもう一軒の農家の上流にあたる。そんな数珠つながりが上流から下流まで続いていた。更にひどいことに下流では飲み水にも利用している。そのため、廃液をどうするか。種モミの殺菌効果は完璧だが、毎年おとずれるその処理に頭を悩ましていた。そんな中での優さんの事件だった。
 
 そこでであったのが「温湯法」である。この方法を教えてくれたのは、高畠町で有機農業に取り組む友人。方法はきわめて簡単で、しかも、単なるお湯なのだから環境は汚さないし、薬代もいらない。モミの匂いを気にしなければ使用後、お風呂にだってなってしまう。なんともいいことずくめの方法なのだ。
 へぇー、こんな方法があったんだぁ。始めて知ったときは驚いた。いつのころから行われていたのか詳しくは分からないが、あっという間に広がっていくだろうと思っていた。もちろん私も近所の農家に進めてまわったのだけれど、我が集落で同調する農家はごく少数。どうも私には技術的な信用がないらしいとしばらくの間、あきらめていたのだが、先日、農業改良普及センター経由で山形県のうれしいニュースにであえた。
 山形県では「温湯法」で種子消毒をする面積はずいぶん増えて、全水田面積の28%に及ぶと言う(平成29年)。少しずづ増えてはいると思っていたのだが、これほどまでとはおもわなかった。いらっしゃったのですねぇ。ねばり強く環境を壊さない農法の普及に取り組んでいた方々が。久しぶりにいい気持にさせていただきました。俺もあきらめずにがんばるべえ!そんな気持ちになりましたよ。
 まだまだ毒性をもった膨大な量の廃液が日本の河川から海へと流れて行っている。どうぞ皆さん!お取引のある農家があれば、くれぐれも農薬に寄らない「温湯法」を進めてください。必ずお近くに「温湯法」の農家がいるはずですから。今年はまだ間に合います。
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