ヤマガタンver9 > 三獅子頭の塗上り

Powered by samidare

▼三獅子頭の塗上り

三獅子頭の塗上り/






上原三ツ頭獅子の三獅子が塗り上がってきた。

張子に朱塗りの獅子頭が机の上で漆の香りを発しながら輝いている。

革紐を耳の穴に通し、裏で縛って耳を取り付ける。








頭部が入る和紙を貼り付けた内部には、耐久性や防水性を考慮し褐色の生漆が塗られ

ている。獅子の頭部に無数の穴を開け、鶏の黒く七光する尾羽を取り付ける。

穴は斜めに開けられ、頭部の厚みに羽根の根元を埋め込む形になっている。

斜めに埋め込まれている事で、羽根が逆立っているようだ。


頭部と下顎部の間に幅15cm程の何か薄く丈夫な繊維を固めたような板城の部材が挟ん

でいて、その板の裏に青苧の繊維を取り付けた「ミノ」を取り付ける。モデルの獅子を

最低限分解して初めて分かる構造で、うまく工夫されている。






保存会の方々と顔合わせした際、獅子は以前より口の開きが広がっているという話から

すると、頭部と顎部の二接点を革紐で結んでいるが、頭部の重さで後に引っ張られ口が

だんだん広がった感がある。60度近く口が開くと目線が天を仰いでしまい違和感が否め

ないのだ。新調事は口の開きは僅かだった可能性がある。




親獅子の舌が口から少し出るように作られている。他の二頭は口の中に収まるのに親獅子

だけが収まらない事も、何か意味がありそうだ。舌を取り付ける革紐が長く顎を貫通して

下がっている。それは顎が上に跳ね上がってしまわない様に演者の胸に取り付けるそうだ。

顎の底に透けて見える赤茶色の幕を取り付ける。その生地が何の繊維なのか、染め屋さん

も判別が難しかった。おそらく青苧や麻系の繊維なのだろうが、透過性や肌触り織り方が

近い麻布を選択した。

今回の制作は、通常の木地彫刻と漆工の範疇意外、木型、張子、染色、繊維染色、縫製、

漆工に及び多くの伝統的な工芸の技術が関わっている。

三獅子の制作はいよいよ佳境に入った。






2025/01/27 18:56 (C) 獅子宿燻亭10
(C) Stepup Communications Co.,LTD. All Rights Reserved Powered by samidare. System:enterpriz [network media]
ページTOPへ戻る