▼魑魅魍魎と埠頭とバイクと2021/02/18 17:42 (C) FPのひとりごと
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ここはその名の通り 松本深志高出の夫婦が経営するアパートだった
より田舎度は増し まわりにはキャベツとスイカしかなくなっていた
そこの住人(学生)たちは そこそこ個性的な連中ではあったが
お友達になりたい と思わせてくれるようなヤツは一人もいなかった
ここも2年後に出た
とにかく 大学近辺にいたくなかった
街の近くで 破壊的に安い物件を物色した
アパート名すらない“掃き溜め”にたどり着いた
不動産屋に案内を依頼したら嫌な顔をされた
まあそれも已むをえまい あのお化け屋敷では
築年数は大家すらわからないという(50年超えだけは間違いない)
正面から見ると 建物が右に傾いていた
古いのは当たり前だが 汚くて臭くて暗かった
“掃き溜め”は妙に街並みに馴染んでいて違和感はなかった
就職を逃した身でこのシチュエーション…
わかっていたこととはいえ 落ちぶれ感はハンパなかった
ここで暮らした一年は忘れられない
何者でもない自分自身と対峙し続けた正真正銘孤独の一年だった