▼白鷹町山口の獅子頭2019/12/04 08:56 (C) 獅子宿燻亭7
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若々しくハンサムな獅子頭である。こちらは白鷹町山口の安楽院に伝わる鮎貝系の獅子頭。
昭和56年、白鷹町高岡の須貝捴一(そういち)氏の作、塗りは氏名の記名から長井の熱海長吉
氏かと推測できる。歯打ちの音から頭部は桐で顎は別の材料と思われ、奥行きが36cmと鮎貝
系にしては小振りで子供用の獅子として作られたのかも知れない。あまり歯打ちを行わない獅
子舞なので、割れは見当たらず、良い状態で塗りも38年前に制作したとは思えない程に鮮やか
である。
軸棒が特殊で、ベークライトかプラスチックの円形ストッパーに抜け留め有りの穴からネジを
通し固定している。しかもビスを締めると獅子の口の開閉がキツくなる仕組みである。片方の
円形ストッパーが欠損してネジも緩み、容易に口が開閉してしまう。同じ素材では作れないの
で樫材で代用が可能である。実に合理的な軸棒で、作者の工夫に感心してしまった。
耳が紐二本で垂れ下がっているので、耳と眉毛の全体に擦過傷が見られる。獅子の上下の動き
で耳が当たり、それも獅子舞の醍醐味となっているが、擦過傷や耳の破損が著しい。鮎貝八幡
の余り手の加えられていない古い雌獅子の耳は軸棒で、そもそもは雄獅子の耳も軸と考えられ
る。こちらの獅子頭も軸棒に変え、耳の軸穴を少し大きくし、耳の動きを制限し破損を防止し
た方法に改造しよう。その他、金箔、タテガミや右手の持ち手の改善策を検討している。
お獅子も、手入れの話を耳にして、心なしか嬉しそうな顔に見える。