▼七つコブの獅子頭2018/12/25 08:30 (C) 獅子宿燻亭7
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クリスマスイブの夕方、小振りの獅子頭が届いた。サンタさんからでは無い。
総宮系の黒獅子なのだが頭に七つのコブが有り、垂れ耳の奇妙な獅子頭なのである。
通常の様式は額の白毫と両耳の下に二本の軸棒の端付近に複数あるのだが、入手した獅子頭は
頭部に若干小さめの白毫が二箇所にあり、一本だけの軸棒の端と目尻の下にあって合計7個の
コブがあるのだ。そのコブには銀箔が施されている。そして極め付けは大きな垂れ耳である。
他所の骨董屋が耳が欠損した総宮系の獅子に適当な耳を付けるという苦肉の策を講じることが
あるが、そうではなく最初から垂れ耳に作られていた。
その奇妙な獅子頭を眺めていると、ちょうど後ろに、この春入手した長谷部吉之助の作と思わ
れる小振りの獅子頭と目が合ったのだ。まさかと思って隣に置いて作風を比べてみると、この
獅子頭がポツリポツリと語り出したのだ。彫り癖や塗りの癖や特徴が一致している。右下の牙
が欠けているのも共通している。研磨剤で磨いてみると遥か明治期の艶が蘇ってきた。
10月8日9日に開催した「獅子舞と修験と熊野信仰」のシンポジウムの発表の際に調べていた
禹歩、反閇の中の星辰信仰、による北斗七星の形の歩行法は、星の運行に合わせた歩行など様
々な足さばきをする陰陽道儀式に用いられていたのだという。果たして謎の七つのコブは陰陽
道に関係しているのだろうか? グリンチ風の獅子頭に問いかけてみても返事はなかった。