▼高畠町根岸熊野神社から糠ノ目山王神社へ2018/08/26 08:11 (C) 獅子宿燻亭7
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27日午後から高畠町根岸に向かった。
梅雨のように降ったり止んだりの雨で暑くは無いが、湿度が有りエアコン無しでは息が詰まる。
高畠町に入って間も無くの住宅街にポツンとある小さな神社で、例祭は春と夏と年二回行われ獅子回しが
行われているらしい。
こちらの宮司さんにお願いして祭事の方に特別に時間を戴き拝見することになった。
獅子頭は祭事係の方のご自宅で保管しているので、わざわざ神社に運んでもらったのだ。
快く取材を受けて戴き、この場をお借りして心より感謝申し上げたい。
膳椀用の木箱を塗って獅子箱にしたような箱に、生成りの綿生地の幕を付けた獅子頭が入っていた。
初見では、一度見たような顔つきで直ぐに亀岡文殊の宝物館にあった、小さな獅子頭を思い出した。
神楽系の獅子だろうか、両方の耳の下に二つの巻き毛が作られている。
鼻の先が赤く塗られ脳天に鏡と思われる皿状の円盤が作られている。
こちらの獅子頭は奥行き一尺程で、口の中にちゃんと記名が残されていた。
明治三十八年(1905)旧六月 石川佐代吉
大字 根岸中 昭和四十八年七月 塗替 石山岩次郎
仝(同)郡屋代村大字 深沼
武田庄太郎髤 年四拾才 明治廾九(29)年 旧六月十五日
武田庄太郎が作者と思ったのだが庄太郎の後に見られない漢字があるので調べてみると
ショウと読み「うるし 赤黒いうるし 漆を塗るの意味」だったので塗師の事であろう。
塗師と書けば紛らわしく無いのだが・・・作者名ではなかった。
というのも獅子箱には
寄進人名 板 □ 硝 石川利兵衛
大工日料 石川佐代吉
とあったが、□の文字は現在調査中だ。明治の漢字は難しい。
獅子幕には墨筆の記名が残されていた。
明治参拾八年六月十四日
有志人名 八名略
當字中婦人會々員 略
周旋方(シュウセンカタ 仲立ち 斡旋とかの意) 若虎一統 とあった。
白い布の獅子幕は単なる一枚の布ではなく、箱型に縫製され青苧のタテガミと尻尾が付けられていた。
獅子舞は現在、氏子を回って厄払いする「獅子回し」の形であるが獅子幕の構造を見ると二人立の神楽獅子と思われ
る。本職に近い専門の神楽師が居なくなると地区民が行うようになったが、次第に伝承は消え簡略化されたのだろ
う。
米沢市簗沢八雲神社、源右衛門の大作の獅子頭を比較して見た。・・・似ている
次に糠ノ目の山王神社に訪れた。丁度子どもの神輿の一行が出発して行った。
神輿と獅子の渡御は明日という事だった。以前取材に来て渡御中の獅子は撮影していたが、内部や裏の形を
確認したかった。拝殿に幕付きの獅子頭を拝見した。
前回取材の時は気付かなかったが両方の耳が無かった。
奥行きの長い獅子頭で、眉が先日入手した神楽系の獅子と同じ眉の形である。大仏の髪に見られる「螺髪」
の様な形状をしている。顎の持ち手に改造が見られ、塗り替えられ記名も獅子箱もなく詳細不明である。
拝殿の内部の様式が面白い。寺院に見られる様な窓枠が見える。
追記
高畠町深沼は八坂神社の獅子の記名を調べて見ると、武田庄太郎の名前があった。
武田が竹田になっているが同人物であろう。
深沼の獅子頭の彫刻は歌丸友之助とあり彫刻も同人物だろうか?
眉毛で顔が見難いが、額のシワの彫り方は似ている。