▼米沢 芳泉町文殊尊の獅子頭2018/06/25 17:48 (C) 獅子宿燻亭7
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6月21日、米沢市芳泉町の文殊尊に訪れた。
芳泉町は茅屋根のウコギの生垣に囲まれた上杉藩下級武士の屋敷が残越されている趣ある町である。
昨年より、獅子頭の修理の相談を受け気になって数回訪れ現地調査している。
ようやく連絡がとれて獅子頭の検分の為、現地で待ち合わせすることになった。
現地に着くと関係者が石を積み上げた境内の敷地で獅子頭を囲んで眺めている。
文殊尊の木造の御堂は何時しか無くなり、石の社が残っているだけである。
今年も7月20日にお祭りを予定していて、それまで破損している獅子頭の修理見積もりの依頼を受けている。
おまつりでは子供達が地区を獅子頭で厄祓いして回る。
獅子頭は一見して見覚えある型である。
特に顎の構造が軸棒の穴の部分が無くて、顎の3cm程の厚みに穴を開けて短い軸棒を通すスタイルが特徴である。
米沢を調査して、その構造を持つ獅子頭を幾つか発見している。
かなり以前修理をしている花沢の熊野神社をはじめ春日町熊野神社、信夫町の疱瘡神社、等の獅子頭である。
記名が有り、塗師は東町の嶋屋新兵衛 明治7年。反対側に・・方 新國氏 釼持氏とある。
塗面が剥がれた部分があり・・方と読めると解釈しているが如何だろうか。
上杉藩に細工方というお役があるのでその人物二人だろうか?
しかし、塗りは既に明治で廃藩済みで、その可能性はない。
また、二人で制作するような巨大な獅子頭でもない。
肝心な部分が欠如した記名である。
桐の獅子頭は真っ二つに破損し針金でくっ付けている状態だ。
少なくても明治、大正、昭和、平成を伝承され地域を守ってきた獅子頭である。
このまま隠居してもらい、来たる新しい年号に相応しい新しい獅子頭の制作をお勧めしているのだが・・・。
世の中そうは問屋が卸さないのが常である。
時代を経た破損跡や傷も獅子の景色として味わいたいものなのだが・・。