▼小松の割烹で獅子頭2018/03/11 08:55 (C) 獅子宿燻亭7
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3月10日土曜日公立高校の受験試験である。
46年も前の忘れもしない緊張の一日だった。バスの中から見える雪原の風景をハッキリ覚え
ている。
今朝の朝刊に昨日の試験問題が載っているが拒否反応で目を背けてしまった。
昨日夕方から小松駅前通りの割烹喜楽で酒宴があった。
先月納品し完了した時田八幡宮の獅子頭完成の披露宴である。
不慣れな私は内輪の酒宴かと油断して行ったが、町長や来賓もありカチッとした祝賀会だっ
た。
喜楽さんは町内でも老舗で旅館も併設した昭和の香りプンプンの落ち着いた割烹。
なんと、こちらには獅子頭が展示されていると聞くと宴会どころではない。
即刻仲居さんに案内され拝見した。
記名は無かったが、お話によると町内の佐藤写真館の佐藤太蔵氏の作と判明した。
自宅に預かっている時田の隣の浮島神社の獅子頭と瓜二つ。太蔵氏の獅子頭は見ていたのだが
どういう訳か連想出来なかった・・・まだまだである。
太蔵氏の彫り癖は特に目鼻や耳、舌に現れている。
総宮系に作るのではなく自分の作風流に制作する。
宴会場にたくさん絵が飾ってあり、その中に川西出身の黒沢五郎氏の獅子踊りの絵が目立って
いる。
デッサン風の笛吹きの作品もあり大変良い。
店主にお会い出来たので獅子頭の話になる。
するともう別棟の旅館の部屋にもう一頭あるという。
手が空いたら拝見出来るかと、お願いしたら快諾していただいた。
別棟の二階の一室にガラスのケースに入った赤い獅子頭だった。
一見新しそうな獅子頭だが、塗り替えられている。昔、隣に某骨董屋があり先代の店主が、そ
の骨董商から多数骨董品を買い求めた。詳細は一切不明だという。塗り替えされていない眉毛
の黒が透けて古さを物語っている。タテガミが風化してボロボロ落ちてきた。
細かい年輪が浮き出している。重いし松系の材料かも知れない。頭部が反って前歯中央から
割れが入っていた。勿論、制作年月日は明治以前の徳川時代まで遡る獅子だろう。
何処かで見た作風かと思ったら、レプリカを作った新山神社や玉庭の神社に多数見られる作風
だった。しかしまだ作者ははっきりしていない状況。
その骨董商は解体業もしていて民家を解体する際に出る骨董品を再生し販売してい
る。
先程の宴会で昔、自分の家にも古い赤獅子があったという話を聞いた。
350年の茅葺きの旧家を解体してしまったが、その時獅子頭には全く無関心で、その時から獅
子頭は消息不明という話だった。まさかその獅子では?と頭を過るが今更判明しないだろう。
他にも家宝の獅子頭がある家もあり、川西町を調べればまだまだ獅子頭がありそうである。
そんなこんなしているうち宴会は2時間でバスが迎えにきて終了してしまった。
思いもよらぬ二頭の獅子頭拝見で快く酔いも回り帰宅の途についた。