▼宇津権九郎二頭2016/06/02 08:00 (C) 獅子宿燻亭6
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白鷹では珍しい宇津権九郎型の獅子頭である。
こちら白鷹町十王の皇大神社の大きな獅子頭を拝見した。
公民館に訪れると床の間に大きなガラスケースに入っている獅子頭が置かれていた。
太い馬毛のタテガミが見事で顔を覆い尽くすようだ。
獅子宿のコレクションにも宇津権九郎型の一対の獅子頭があるが二倍もある様に見える。
持ってみると大きさの割に軽いので材質は桐だろう。
「ふるさとの獅子舞」-山形県西置賜郡白鷹町十王-
文 奥村幸雄氏 写真 梅津光弘氏
先日、梅津光弘氏から贈呈された、この昭和五十年五月調書の本によると明治27年、ご先祖の梅津
伊四郎氏が名古屋から獅子頭を買い求め十王の皇大神社に奉納した事がきっかけになり獅子舞が始ま
った。獅子舞いは鮎貝八幡宮から師匠を招き七五三の獅子舞を習った。
しかし、一旦途絶え紆余曲折を経て大正12年復活し現在に至るという。
この古い写真を見ると向かって右に小振りの興味深い獅子頭がある。
赤黒の獅子頭で雌獅子とあるが、左の宇津権九郎の獅子頭とは型が大きく違っている。
梅津伊四郎氏が名古屋から買い求めたのは一対とは書いていないので、この獅子頭については
不明である。
皇大神社の直ぐ西側の別当寺の観音堂と関わりがあるのではないかと推測する。
この件について調べてみよう。
さて・・別所に移り現在使われている獅子頭を見せて戴く。
こちらは記名があり、悩まないで済むのでありがたい。
飯豊町中津川小屋の名匠 渡部 亨氏の作で、漆工は長井市幸町の熱海長吉氏
昭和57年5月吉日とある。
こちらも獅子頭の大きさ、厚みの割に軽く、形も塗りも良く見事である。
驚く事に、右手の持ち手が耳と耳を繋いでいる紐なのだ。
写真の様に、左手の丸い軸棒に板を取り付けて握り易くしている。
また、その握り手が回転しない様に、元々の獅子頭の軸を取り付けて改造しストッパーにして
いた。軸棒の工夫は鮎貝の八幡神社の軸棒にも見られるので、獅子舞の師匠が伝えたのかも知
れない。
耳と耳とを繋ぐ紐を握る方法は、他にも福島県三春の田村大元神社の獅子も同じだった事を思
い出した。横棒を取り付ける方法もあり、右手の支持が安定するのだが、慣れた方法を採用
しているのだろう。
さて奥村氏の本にも、謎の雌獅子については記述された事が無い。
きっと何か新しい事実が隠れているようだ。
最近、この手の謎を見つけては、足跡の無い雪原を歩き出す時のワクワク感を覚える。
これが生活習慣病化してきているので怖いのである。
最近、未知の獅子頭と祭りを支えている人々との出会いが続いている。