▼◆歴史は楽し◆上山市を訪ねて2011/09/30 16:48 (C) まるはち酒店
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9月6日、長井文化財保護協会の視察研修会に参加。
今回の研修は上山市に残る建造物探訪である。
個人的に興味が募っていた城下町ならではの「武家屋敷」は街中に在りながら今まで見る機会が無く今回は良い機会に恵まれたと感謝したい。
というのも実は母も家内も上山市の出身という事で小生もこの世に生を享けた土地は上山という次第。
幼い頃から母の実家があるこの土地は馴染があるにも関らず、その史跡や名所探訪等には何故か縁が無かった。
と云うか余りにも身近すぎた事と温泉地としてのイメージが強すぎて興味が湧かなかったというのが本音である。
震災の影響からか今回は例年の春ではなく秋に行われた研修ではあるがススキが風にそよぎ稲穂が頭を垂れる車窓からの景色も素適であり、行く先々の建造物の佇まいと相まってとても良い風情を感じる事ができた。
そして夕刻前には研修を終えるというコンパクトながらも中身の濃い研修スケジュールには感心するばかりである。
上山についての考察の魅力を手招きして頂いた講師の安部会長さん始め事務局スタッフの面々に感謝申し上げたい。
※画像は楢下宿に残るアーチ式石橋 =覗橋= 明治15年建造 上山市指定文化財 この春の震災でもビクともしなかったそう。
【当日の研修コース】
つつじ公園駐車場 → 春雨庵 → 蟹仙洞 → 旧尾形家住宅 → 楢下宿 → こんにゃく番所 → 武家屋敷 → つつじ公園着
続きは画像と共にどうぞ〜^^
春雨庵
先ず向かったのは沢庵和尚が寛永6年57歳の時に幕府の処分で羽州上山に流刑となり定住した庵である春雨庵。
春雨庵は知らなくとも‘タクアン漬’を知らない日本人は居ないのでは。
そのルーツがこの和尚なのであります。
しかし私事ながらこのタクアン漬が大の苦手なのでありまして。
もうあの黄色い物体があるだけで食欲減退、気分消沈なのであります。
まあそんな事どうでも善いかぁ。
敷地内にはお茶室もあり一度は足を運ぶ価値ありと思います。
蟹仙洞
昭和に製糸業で財を成した長谷川謙三の収集した美術品を展示する美術館。
ここのメインは名刀がずらりと並んだ日本刀の数々と堆朱堆黒のコレクション。趣のある蔵と堆朱専用に建設したという展示棟を館長さんのご案内でゆっくりと観賞させて頂く。
文化の薫りがそこ彼処に。
旧尾形家住宅
国指定の重要文化財に登録されている江戸時代に建てられた庄屋の住宅。
まさにそこは日本人の暮らしのルーツが窺い知れる貴重な建物。
映画‘小川のほとり’の一場面にも登場する部屋が在りロケ時の模様をお聞きしました。
楢下宿・こんにゃく番所
羽州街道の宿駅として栄えた楢下は藩政時代、青森・久保田・山形の諸大名13藩の参勤交代の宿駅として本陣・脇本陣・問屋・旅籠屋・茶屋などを備えて賑わった。
その楢下宿で今大盛況を博しているのが‘こんにゃく番所’と呼ばれるこんにゃく料理の専門レストラン。
今回はそのこんにゃく尽くしの懐石コースをご馳走になった。
前菜の一品である‘黒豆こんにゃく’は本物の黒豆の中にこの黒豆モドキを混ぜ込んであり見た目はまったく判らないがそれを探し当てるという小粋なユーモアも織り込んである。
しかしどれも感心する出来栄えの美しさでお洒落感覚に溢れている。
店内は女性客を中心に満員御礼の大盛況、カロリーゼロで見た目も綺麗で品数豊富、懐にも優しいとなれば云う事無しですよね。
文化財保護協会の研修で商売の勉強までさせて頂けるとは思ってませんでしたので有難いサプライズでした。
武家屋敷
そして最後はお待ちかねの武家屋敷見学。
城下町である上山には殿様に仕えた上級武士のお屋敷が軒を連ねて4軒現存し、武家屋敷通りとして親しまれているのだとか。
その中で唯一家屋内も見学できる「三輪家」を見せて頂く。
文化年間初期に建てられたと推定されるお屋敷は往時を偲ばせる曲屋萱葺きで庭園も北側に築池を配するなど武家屋敷ならではの造りとの事。
但し内部は流石に江戸時代のままという訳にはいかず今の暮らしに合わせて何度か手を入れた事が判る。
ちょっと期待外れの感があったが何はともあれ原型を留めて現存している事だけでも価値があるわけでご興味のある方はぜひ一度お訪ねください。