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▼大震災

今回の大震災にて被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。まだまだ被災の真っ只中ですが、これから日本国民あげて復興に向けて協力していきましょう。私の出身大学の後輩で同じ柔道部に属していた成田先生は宮城の気仙沼市民病院に勤務されておられ、獅子奮迅の活躍をされている事でしょう。昨日もテレビに彼の姿が映っていました。その姿を見てほっとするとともに助けに行くわけにはいかない自分をもどかしく思いました。ここ山形にもガソリンはまったくと言っていいほどなくなり、私もクリニックの患者さんと介護老人保健施設白鷹あゆみの園入所者のみなさんの健康を守ることで精いっぱいだからです。
今回の大震災では、いろいろと考えさせられることが多かったです。まずは自然の前には人間は無力であり、自然に対して想定内という事はないという事。二つ目は東北人の性格。三つ目は原子力行政のいい加減さ。四つ目はこの国の危機管理能力のなさです。
最近、地球規模で台風、地震、津波など巨大なものが多くなってきているような気がします。自然の前では人間の力は極めて無力なものであるという事を改めて感じました。亡くなられた方々には申し訳ありませんが、我々は、自然に対して甘え、油断があったと思います。地震が来たら津波が来るというのは、特に海岸部に住んでおられる人はだれでも当然知っていたはずです。今回これだけ犠牲者が出たというのは、地震が来たらすぐに逃げるという原則の徹底が甘くなっていたという事は指摘しておかなければならないと思います。昨年の地震で津波警報が出ても、逃げなかった人のほうがはるかに多かったという事実からもそれは明らかではないでしょうか。「天災は忘れた頃にやってくる。」今後何年後か何十年後にはまた必ず、こういった震災は起きます。「のど元過ぎたら熱さ忘れる。」ことなく、次代にこの経験を伝えていかなければなりません。
海外の多くのメディアで震災後、被災者の人々の冷静沈着さと、混乱のなさが驚きと賞賛の目を持って伝えられています。これは東北人の誇るべき性格と思います。農耕民族である日本人は何千年も自然の猛威に翻弄されてきました。繰り返される天災で、せっかく育てた農作物がすべて無になる経験を何度となくしてきました。その中で、自然の猛威に対しては素直にあきらめる性格が培われてきたと思います。特に厳しい自然の中で生きてきた東北人は、助け合って生き抜く知恵と性格が養われてきたと思います。テレビのインタビューで多くの被災者が、支援物資をいただいた感謝を言い、さらに自分よりもっとひどい人がいるのに自分が頂いて申し訳ないと言って,他者をおもんばかるのはまさに東北人の美徳といえるでしょう。これを日本人の美徳と考えるのは誤りだと思います。この十数年、日本人の中で自分勝手な自己中がものすごく多くなっていることは、以前から言われてきたことですから。今回東京でおきた買い占め騒動はその表れだと思います。恥ずかしい事です。恥を知れです。
 今回の原子力発電所の事故は間違いなく人災です。原子力行政を推し進める人々が「絶対大丈夫です。絶対安全です。」という言葉を私も何回か聞いたことがあります。どこが絶対安全なんだ、日本が滅びるかもしれない事故を起こして。事後の対応も悪いし、会見で「想定外」と繰り返す東電職員と原子力保安院の官僚達を見ていると本当に腹が立ちます。「想定外」で済まされる問題ではない。万死に値する。以前より、地震大国の上に54基もの原子炉が立っている事の危うさを指摘する人は多くいました。それを無視し、どんどん原子力発電所の建設を進めていった国の行政は、全国各地に要らぬ飛行場を作っていったのと同じ構図です。さらに築40年もたっている原子炉の危険性を指摘する声も無視して、あと20年は使えるとして福島第一原子力発電所を使い続け、今回の建屋の爆発などを招いたいい加減さ、この原子力行政のいい加減さこそが今回の大事故を招いたのは間違いありません。
 民主党政権になってからいいことが一つでもあったでしょうか。今回の大震災でも10日以上たつのに被災していない隣の県、災害援助の拠点となるべき山形県にガソリンがない。県民は助けに行きたくても足がない。介護老人保健施設白鷹あゆみの園の食糧調達もままならない。いくら未曾有の大災害だからと言って、10日過ぎても十分に被災地に救援物資が行き届かないのは、政府の危機管理能力のなさを露呈していると思います。民主党政権が悪いというよりも実は、この国の実務を預かる官僚組織がすでに時代に対応できない陳腐なものになっているからにほかなりません。この体制を維持している限り、過去に戦争で何百万人も殺されたように、昭和30年代に移民で南アメリカ大陸に渡って何万人も亡くなったように、これからも我々日本人は殺され続けると思います。

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