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▼大工職人として

今から35年前、職業訓練校で1年間建築の技術を修得してから
私は大工の見習いとして山形市の工務店で住み込みで働き始めた
16才で見習いとして始め、21才で大工職人として親方の元を離れ建設現場を渡り歩くようになって
現在まで35年間大工職人をやってきた
建物を完成させるまでの作る工程として以下のような順序がある
『やりかた』→『構造材の墨付け』→『構造材の加工』→『建て方』→『屋根工事』→『外部工事』
 →『内部造作工事』
このような段階で進めらるが『構造材の墨付け』はその中でも重要な作業になる
当住宅の構造の細部から、仕上がりの細部まで全部頭の中に入っている必要がある
『墨付け』は棟梁が自ら行なうべきである 平面図、梁伏図、立面図、断面図 仕上表 は1枚の図板に
凝縮されて描かれる。つまり簡単に言うと平面系、立面系の図面はこの図板に、矩計図は
描かず尺杖に高さの基準を表す。これらは大工の手で描かれる
『構造材の墨付け』の作業で大工の頭の中には3D(3次元)に屋根の上まで立上がっている
それゆえに『建て方』の時は墨付けにミスがないか 棟梁として非常に緊張するもの 
『構造材の加工』の作業で最近は無くなってしまったが、和室の柱の鉋仕上げをする時はどの大工も
鉋の刃物を丁寧に研ぎ、鉋台を手入れして十尺の柱いっぱいの鉋くずを舞い上がる様にたなびかせていた
吉野杉の柱は淡いピンクの光沢を放ち、凝縮された年輪がきびしい環境で育った木の生い立ちをうかがわせる
施主の財産を自らの腕で築き上げるのが大工の仕事なのだが 最近はこう言った建築が希少になった
若い大工に技術を受け継ぐにはそういったステージとなる現場が必要だ
片倉 建工社
片倉 勇

2009/09/07 16:57 (C) 片倉建工社
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