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▼思い込み

最近年相応にというか、かなり物忘れや間違いが多くなったのを自覚しています。間違えたり、忘れていたりしたときには、「認知症ですから。」とか、「毎日認知症の人ばかり見てるから、移ったんだ。」と言い訳しています。認知症のせいにすればなんでも済むような気がして、「認知症」というのもまんざらではないなと思っています。
下記の文章も10月に作成していたのを、院長ブログに掲載した気になっていて、掲載していないのに今日気が付きました。せっかく書いたのだからもったいないので、いくらか加筆をして本日掲載します。
暑い夏はあっという間に過ぎて過ごしやすい秋になりました。今年は山形市西部で倒れた稲が多く、まだ刈り取りをしていない田んぼがたくさんあります。「大丈夫なのか。」と他人事ながら心配になりますが、たぶん何とかなるのでしょう。
 稲作だけでなく、その道の専門家でなければ分からないことはたくさんあります、自分の専門でないことは素直に専門家に任せたほうがいいに決まっています。でも、相も変わらずというか、医療の専門家でもないのに自分の勝手な考えを押し付けてくる人は、老若男女を問わずどんどん増えている印象を毎日の診療で感じています。
 正直、医学は難しいです。簡単ではありません。小生は、ある学校の学生に整形外科学の講義をもう何年もしていますが、試験の前に「こことここを出しますよ。」と言っても、毎回何割かの学生は不合格になります。「なんで落ちるんだ。」と真剣に考えましたが、結論は、医学は難しいということです。「説明しろ。」と言われて、説明して、理解してくれる患者さんは、そう多くはいません。医師は、常に新しい知識を得て、最適な治療をし、誤審をしないように日夜勉強しているのです。一般の人はそんなことはわからないでしょう。自分と同じように医師も仕事をして家に帰ってきて酒飲んで寝ていると思っているのでしょう。自分と同じと考えるから、病院の医者以外はみなやぶ医者と思って、人気ラーメン店と同じく、大病院やテレビで紹介された医師のところに大行列を作るのでしょう。
 勝手に病院、医者を格付けして、「名医、名医」と格付けして扇動しているのがマスコミです。現在、若い世代は、テレビを見なくなっているとのことですが、高齢者はすることがないので、テレビばかり見ている人が多いと思います。高齢者は盲目的にテレビの言うことを信じる方が圧倒的に多いので、テレビに扇動され、うそでもテレビの言うことだからと安易にすべて受け入れてしまっているのです。日常の外来でも実にそういう方は実に多いです。
 マスコミは、今年は兵庫県知事のパワハラ問題で大騒ぎでした。公益通報制度に違反して、通報者を処分したとして、ついに知事が失職に追い込まれましたが、だんだん知事の個人的な資質が問題にされ、連日真偽の不明な情報が飛び交い、ついには極悪人のように報道されるようになってしまいました。
 小生は、兵庫県知事のことは全然知らないのですが、公益通報制度に違反したかもしれないというこということが一番の問題なのに、その人間性まで否定するような報道がなされるというのは、いつものことというか、ずっと以前より繰り返されてきたことです。今回は、彼が、退職して不屈の精神で、選挙に再立候補をして見事に返り咲き当選をしました。彼は実に素晴らしい人間なのだと思います。しかし、テレビや週刊誌は、それを苦々しく思っているのでしょう。いまだにパワハラの有無をはっきりしろとぐずぐずと言っています。また、「SNSには嘘も真実も混じっていて、それを見極めるのはとても難しい。」などとほざいていますが、うそばっかり言っているのはお前たちマスゴミだろう。実に醜い。
マスゴミが犯人と憶測して過剰に取材して、その人間を貶める例はいくらでもあり、枚挙にいとまがないくらいですが、一例だけ挙げますと、松本サリン事件で、妻が廃人にされた夫が、マスゴミによって犯人扱いされた事件です。オウム真理教の許しがたい犯罪による犠牲者なのに、マスゴミによっても人生をめちゃくちゃにされました。マスゴミによる個人への人権侵害があれば、莫大な賠償金を支払わせる制度ができないかなと、いつも思っています。
勝手な思い込みをしてそれがさも事実であるかのように報道するマスゴミと同じように、自分の考えを押し付けて来る患者さんに、最近いつも言っているお気に入りの話があります。一つは[自分の車が動かなくなって、エンジンが壊れたと思って、車屋さんに持って行ってみてもらったら、車屋さんが「バッテリー上がりで充電すれば動きますよ。」と言われているのに、「いいや、俺はエンジンが悪いと思うからエンジンを開けてみて修理してくれ。」と言い張っているようなものですよ。] という話です。もう一つは、[将棋のプロは、百手先まで考えるといいます。三手先までしか読めない我々へぼ将棋指しが、プロの対局を見て「ああ、なんだ、あんなだめなところに打って!」と思った手が実は勝負を決める名手だったということがあります。対局の後に「なんであそこに指したのですか。」とプロに聞いて、プロに百手先の話をされても我々へぼ将棋指しにはわからないのと同じですよ。] という話です。医師は、患者さんの性別、状態、薬の作用副作用などいろいろ考えてから、薬を出したり、治療法を決めたりしているので、「簡単に説明しろ!」と言われても、患者さんたちの治療に追われる外来では、短い時間では十分な説明にはなりません。
 最近はそういう方には、すぐに大きな病院を紹介するようにしています。そういう人は、「大きな病院=高度な医療」と信じている傾向がとても高いので、こちらもよけいな疲れをしなくてすみます。昔は「なんで俺の言うことを信じないのだ。」と腹を立てていましたが、今はすぐに大きな病院に紹介状を書くようにしています。小生も年を取ったからかな。

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