ヤマガタンver9 > 山と人の物語 vol.8 『山で学ぶ、山でつながる 〜子どもたちと地域が育つ場所〜』

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▼山と人の物語 vol.8 『山で学ぶ、山でつながる 〜子どもたちと地域が育つ場所〜』

山と人の物語 vol.8 『山で学ぶ、山でつながる 〜子どもたちと地域が育つ場所〜』/

はじめに

山には、人を育てる力があります。

木々の間を歩き、薪を割り、火を起こす。
それは学校では学べない、生きた体験です。

子どもたちが初めて山に入るときの目の輝き、
地域の人たちが久しぶりに山と向き合う時間。
そこには、静かだけれど確かな「つながり」が生まれています。

今回は、そんな“学び”と“交流”が芽吹く現場の物語をお届けします。


自然の中で育つ、まなざし

ある日、小学校の体験学習で子どもたちが山を訪れました。
最初は土の道を歩くのもおっかなびっくり。
けれど、目の前に広がる大きな木、風の音、落ち葉の感触に、
次第に夢中になっていきます。

「この木が、薪になるの?」
「山って、こんなに静かなんだね」

そんな素朴な声が、私たちにはとても嬉しく感じられます。

彼らは木を見る目を変え、
山という存在を“遠いもの”から“身近な場所”へと感じはじめます。


火を囲むという学び

体験会では、実際に薪を割って火をつける活動も行います。
自分たちで割った薪に火がつき、パチパチと音を立てる。
その炎でご飯を炊いたり、スープを温めたりする──
そんなシンプルなことが、子どもたちにとっては大きな経験になります。

「自分で火をつけたら、ご飯の味が違った」
「手伝ってもらいながらできた。嬉しかった」

五感を通じた体験は、“生きる力”につながっていきます。

火を囲んだあとの会話もまた、学びのひとつ。
協力し合った仲間とのやりとり、地域の人とのふれあい。
山の時間は、人の関係をゆっくり、そして深くつないでくれます。


地域と山をつなぐ活動

私たちは、親子での体験イベントや学校との連携などを通して、
地域の人と山をつなぐ活動を続けています。

「子どもと一緒に山に入るのは初めて」
「昔はこうやって薪をつくっていた」
そんな声が山の中に響き合い、世代を超えた交流が生まれていきます。

山に関わるということは、木を使うだけではありません。
その恵みに気づき、大切に思う“心”を育てることでもあります。

山と暮らす地域だからこそできる体験を、
これからも未来へつないでいきたいと考えています。


おわりに

山で過ごす時間は、子どもたちにとって宝物になります。
それは、教室では学べない「生きる力」を育て、
地域の人々にとっても「忘れていた大切な感覚」を呼び覚ます。

木を伐るだけでなく、火を使うだけでもない。
山は、学びとつながりを生み出す“場所”なのです。

次回は、そんな山の営みを支える“見えない努力と技術”に光を当ててお届けします。
どうぞお楽しみに。


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