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▼第17回 人が集うて、幸せで・・・05,7,20

第17回 人が集うて、幸せで・・・05,7,20/

だからどうしたのと言われそうな話だけど、まぁいいじゃないですか。とてもうれしいひとときだったのだから。というのはさ・・・。

友人の大工さんに頼んで鶏舎を一棟建ててもらったのが始まりだ。その大工さんと、出来上がった鶏舎を眺めているうちに「落成を祝う会」をやろうということになった。友達と一緒になごやかな時間を過ごすのが大好きな僕は、さっそく知人、友人に呼びかけた。

「来たる12日、我が家の鶏舎の前にて、ささやかな野外酒宴をもちます。会費は千円ですが、一品持ち寄りできる方、またはお酒を持参される方はお金はいりません。なんでもいいんです。その辺の雑草をさっと茹でたものとか・・・うふふ。なんでもいいんですよ。我が家で準備できるものは私が握ったおにぎりと、おなじく私が焼いたたまご焼き、それに少しの飲み物ぐらいですけど。だから・・・本当にお気楽においでください。」

 急な思いつきの、急な案内にもかかわらず大勢の人達がさまざまな料理をもって集まって来てくれた。

 ポトフ、ダンゴ、豚ヒレのワイン蒸し、アジのから揚げ、根わさびとお刺身、ふきの煮物、ワラビの醤油煮、豚肉のチャーシュー、山菜のおひたし、竹の子の煮物・・・鶏舎の前の木の下にシートが敷かれ、たくさんのご馳走が並べられた。それらをいただきながら、小さなパーティが始まった。
料理がおいしい。ぼくのつくった玉子焼きとおにぎりも好評だ。テーブルをかこんで、始めて会った人どうしが談笑している。

澄んだ青空に白い雲。緑いっぱいの木々の下、木洩れ日がそそぎ、さわやかな風が頬をなでる。コッコッコッコッというニワトリたちの穏やかな声を聞きながら、すてきな時間が流れていく。

「孫にね、ニワトリを見せたくてつれてきました。」
「私はここのところ、他人と会いたくなかったのです。でも、来てよかった。」
「息子がね。学校をやめて農業したいというんです。ニワトリを飼ってみたいって。」
「なんかねぇ、去年まで全部の田んぼを無農薬でやってきて、草とりが本当に大変なんだよね。もう年だし、今年はそこまで無理するのはやめようかと話し合っているんですよ。」

 みんなが素直に自分を語っている。農民も郵便局員も、大工さんも、主婦も、お坊さんも、学校の先生も、パートの勤め人も・・・。いま、ここに居ることが本当にしあわせだと思えるようなひととき、やわらかな空気。

だからどうしたのと聞かれると困るんだ。ただそれだけなのだから。 
でもね、それがとってもあったかくてさ、ありがたくてよ。なんか生きててよかったなぁって思えるんだ。

それだけのことなんだけどね・・。


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