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▼農業関係の新聞に書きました

農業関係の新聞に書きました/
 
 前回と書き出しは同じですが、中身は多少ちがいます。
農業関係の新聞から求められて書いたものです。
ご笑覧ください。


環太平洋連携協定(TPP)をめぐる情勢は緊迫度を増してきた。野田佳彦総理は5月の連休中にも訪米し「TPP参加」を表明しようとしている。米国大統領選挙直前のオバマ氏へのお土産ということだろうか。
 TPPのねらいとするところは二つ。既にご存じのように「関税の撤廃」と「貿易障壁の排除」。その本質は、大資本や投資家の国境を越えた自由な利益追求のために、参加国の社会の仕組みを変えようとすることだ。その極みは「ISD条項」。知れば知るほど恐ろしいルールである。進出した企業がその国の法律や制度によって不利益を受けたと認識した場合、米国にある国際法廷にその国を訴えて損害賠償を求めることができるというものだ。例えば日本の森が水資源の供給地として外国の企業に買い占められたとしても、国内法では制限を加えることができない。地域振興や環境、森林資源の保護などの名目でおさえようとすれば逆に厖大な罰金が科せられることになる。TPPで農業がこうなる、食がああなるの話だけでなく、この社会自体が危機にさらされる。国が最優先で守るべきはこの国で暮らす人々の安心できる社会の仕組みではないのか!これをいったいなにと交換しようとするのだろうか?とんでもない話だ。
TPPには度し難いもう一つの問題がある。それは秘密主義ということだ。すべての会議の内容や交渉過程はブラックボックスの中にあり、参加国の国民に明らかにされない。人々の暮らしや社会全体、その未来に大きな影響を与える条約であるにも関わらず、その真の担い手である国民はもちろんその国の国会議員にさえ知らされないのだ。議員はその本来の役割を果たすことができない。ただ一握りの決定者が膨大な人々の運命を決めていく。
 この国の今と未来のあり方を決めることができるのは世界の大国でもなければ巨大企業でもない。この列島に暮らす人々である。その「国民主権」と「民主主義」をTPPは根本から破壊しようとする。
TPP参加国のオーストラリア、ニュージーランドではISD条項の存在が国民の怒りをかい、TPP反対の機運が急速に拡大しているという。当然だろう。
さて、いうまでもないことだけど、われわれ農民は土ばかり見て暮らしているわけではない。ことここに至ってもなお、「TPPはビジネスチャンス」という農民もいないわけではないが、それは論外だろう。
 5月に向けて大きな行動が準備されなければならない。農民、消費者、労働組合、医療関係などの枠を超え、広く連携した国民運動が求められるところだ。
 (山形県長井市、水稲、養鶏)

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