ヤマガタンver9 > 高畠町夏茂の夏刈熊野神社の獅子

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▼高畠町夏茂の夏刈熊野神社の獅子

高畠町夏茂の夏刈熊野神社の獅子/
猛暑に少しだが、秋の気配を感じ始めた。
透明感ある空の青さや、田圃の稲の香り、そして日陰の涼しさ、ススキの出現など
・・しかし気温は34度を超えている。



高畠町夏茂(なつも)夏刈(なつかり)熊野神社と地名も夏真っ盛りの地名である。
13号線旧羽州街道から西に入った静かな集落に訪れた。熊野神社では獅子回りの一
行が正に出発直前という時に到着した。






考えてみると、この「獅子回り」という名称も学術的には有るのかどうか不明である。
獅子は例祭において御神体を収めた神輿を警護し邪気を祓う役割である。神輿が省略
され獅子だけの厄払い渡御として始まったか、角付けの職業的神楽獅子が土着しアマ
チュア化したしたのではないだろうか。
「獅子回し」では猿回しの様な形になるので、獅子を持って地域を厄払いして回るの
で「獅子回り」が適当だろう。




獅子頭は拝殿前に置かれ出番を待っていた。獅子頭本体は朱と眉や耳の黒のコントラ
ストで鼻から眉間までつながった独特の彩色である。眉間の宝珠型の彫りは見覚えの
ある特徴で、先月発見した明治期の宮内の小関庄左衛門の作である。しかも耳は柳葉
型で脳天には渦巻いた白毫状のものが付いている。川西町の中小松新山神社や玉庭の
松尾神社等作者不詳の獅子と似ている。あの一連のシリーズは庄左衛門の作なのだろ
うかと思い始めている。






さて、獅子回り一行は、民家に近づくと「さてーさてー」と気勢を揚げながら車庫の
壁をドンドン叩き出した。さてーさてーの次の口上を期待したが、それ以上は用意さ
れていないが古風な気勢と壁を叩く所作は初めてである。以前は多人数で、酒が入っ
て勢いが良すぎて土壁を破壊してしまうほどだったという。壁を叩く事は厄祓いの意
があると教えてくれた。

玄関に入ると住人からご祝儀を受け取り、アッサリと出てきて次の民家に移動する。
一切芸能や囃子はなく獅子を持って移動する形である。公民館には別の古い獅子頭と
箱があるというのでお邪魔させていただいた。


もう一頭は赤い伊勢大神楽で用いられる様な小振りの獅子頭で、軸棒が欠損し使い込
まれている。幕穴部に陰刻の記名があったが、塗り重ねられて判別できなかった。箱
内部には仕切りがあり、兜用の箱の様である。家紋が描かれ調べると「雪持ち笹」と
いう上杉氏や柳生家に関わる家紋らしい。笹に積もるゆリアルな雪が、公民館の蒸し
暑さと対照的に思えた。

獅子幕の模様に車輪である「法輪」が染め抜かれていることに気づく
調べてみると「仏教のシンボルの一つで、教えの車輪、梵輪ともいいお釈迦様の説いた
教え(法)を車輪に例えたものです。」とある。熊野神社が神仏混合時代からの伝統なの
だろう。










成井村 ○○ 作・・功? 助? ○門

獅子回りは夕方未明まで地区を回る。今度は夏茂の南、上平柳の稲荷神社に偵察に
向かった。
2019/08/19 06:46 (C) 獅子宿燻亭7
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