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▼推定無罪

皆さんは「推定無罪」という言葉を知っていますか。「疑わしきは罰せず」、「疑わしきは被告人の利益に」という言葉とほぼ同じです。「無罪の推定」というのが正しい言い方のようですが。
 「何人も有罪が確定するまでは、罪人として取り扱わない。」という近代法の原則です。国際人権規約にも載っています。
 日常診療の現場においては、その症状が薬の副作用かもしれないという時は、「推定有罪」としています。本当にその症状が、薬のせいなのかどうか確かめるには相当の時間と手間暇がかかりますし、同様の効果で作用機序の異なる薬はたくさんあるので、そういう時にはすぐに違う薬を出すようにしています。それが患者さんのためにもなるのでそうしているのです。しかし、人間の社会にそれ「推定有罪」をあてはめたら大変なことになるのは歴史が証明しています。
 日本の社会でも昭和の中頃までは推定有罪がまかり通っていました。「たぶんあいつが犯人だろう。」との憶測で多くの冤罪が生まれ、何人もの人が捉えられ、中には非業の死を遂げた方も数多くいた事でしょう。江戸時代は同心の気持ち一つで犯人扱いされて、獄門、遠島の憂き目にあった無実の人はさらに多かったのでしょう。この50年間を振り返っても袴田事件、三崎事件、山中事件、晴山事件、道庁爆破事件、足利事件など冤罪と言われた事件はたくさんありました。
 このような無実の罪の人を作りださないために「推定無罪」の大原則があるのです。しかるに、昨今のマスコミの論調はほとんど「推定有罪」です。「無罪の推定」という言葉を「推定無罪」という言葉にしたのはマスコミなのだそうです。それなのに、以前からマスコミはそうでしたが、最近はひどすぎる。「容疑者」と発表されただけで犯人扱いする。さらに、疑わしいだけで決めつけて犯人扱いにしています。森友学園、加計学園にしても明らかな証拠もないし、有罪になったわけでもないのに政治家の妻や首相を犯人扱いにしている。財務省事務次官のセクハラ問題でも週刊誌が書いただけで、犯人扱いし、更迭にまでなっている。異常です。
 週刊誌は絶対に正しい存在なのですか?マスコミは絶対に正しい存在なのですか?まるで金正恩を絶対視している隣国と同じではないかと思ってしまいます。
 そのマスコミの報道に何の疑いもなく飛びついて、政権転覆にどうあっても結び付けようとしている野党議員たちにはあきれ果てるばかりです。彼らの中には弁護士が多いです。以前から日本弁護士会はいわゆる左翼と呼ばれる人達が牛耳っています。それはどうでもいいのですが、その弁護士自らが「推定無罪」の原則をまるで無視して、何の根拠もなくマスコミの報道を真実とし、「政府が関与しているに違いない。」と公言してはばからない。そういう輩は弁護士資格を返上しろと言いたいです。
マスコミはうそをつくことが多いと思って接するべきです。これまでも多くの冤罪、報道被害を生んできて人権侵害をしてきました。古くは三億円事件での府中市内の運転手に対する犯人報道、松本サリン事件の河野義行氏に対する犯人扱い、香川・坂出3人殺害事件における父親に対する犯人扱い報道、厚生労働省村木厚子氏に対する犯人扱い報道など、まったく反省がないか、あってもうわべだけの反省で同じことが繰り返されています。罰せられるべきはマスコミと思います。「報道の自由」の名のもとに平気で人権侵害をする。放送報道をする側に対するある程度の規制は絶対に必要と思います。今の日本で一番規制のない職業はマスコミではないでしょうか。
医療の世界でもマスコミによる人権侵害報道によって正しい医療がゆがめられてきたという歴史があります。何でもかんでも「医療事故」と称し、医師が悪人であるかのような印象操作をする。大淀町立大淀病院事件、福島県立大野病院産婦人科医逮捕事件などの医師悪人説報道、ワクチン接種の副作用に対する過剰報道など枚挙にいとまがありません。報道機関は話題がなくなると医療事故探しをしていると言われるほど、医療に対する偏向報道が多い時期がありました(今もですが)。そのせいで、医師と患者は信頼関係がないと正しい医療はできないのに、マスコミのいう事を信じて、はなから医師のいう事を信じない患者をたくさん作ってしまった。それは患者にとっても不幸なことなのです。
論点が少しずれたようなので話を戻しますが、「推定無罪」の原則、これをなくしてしまったら、北朝鮮、中国などの共産主義国家と同じ、一つの権力による暴走を止められなくなり、悲劇が増幅されるのは歴史や現在の隣国を見れば明らかです。マスコミはもはや一つの権力になってしまっているようです。この暴走を抑えなければ、この国は大変なことになると危惧しているのは私だけではないでしょう。そして、私たち日本人はここでもう一度「推定無罪」の原則を再認識すべきと思います。

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