ヤマガタンver9 > どうだべな?ご同業。

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▼どうだべな?ご同業。

どうだべな?ご同業。/
ようやく田植えが終わった。朝日連峰を背景に、うす緑の水田がどこまでも広がっている。田の畦には「春シオン」、「忘れな草」、「オオイヌノフグリ」、「ジシバリ」などの色とりどりの野花が咲き誇り、いま田園は美しい。
農繁期の疲れた身にはこの美しさが何よりの癒しとなるのだが、近年、その野花の咲く畦に除草剤が撒かれ、一面に緑が茶褐色と化している光景が目につく。新緑の春なのに・・・と、見るものの心を荒ませる。
農家ならだれでも知っているように、畦草とその根は、直射日光や風雨から畦畔を守り、根は水と雨からその崩壊を防いでいる。しかしそこではその草ぐさが枯れ、土と小石がむき出しになっている。こんなことを続けていたらやがて畦畔は崩れだし、近い将来、大変な思いをして修復しなければならなくなるだろう。それでもこの光景は年々広がる傾向にあるのだから切ない。
この広がりの背景には高齢化し草刈作業が辛くなっている農家の実情もあるが、多くは1農家あたりの耕作面積の拡大がある。草を刈りきれないのだ。管理能力を超えた規模拡大と、少しでも手間を省く選択としての除草剤。
農民をこのように追い立てるものは、TPPに象徴されるグローバリズムと安いコメの価格政策だ。
ま、明日のことを心配するよりも、急場をしのぐことが先で、足元に火が付こうが目をつぶってやり過ごすが勝ち。日本では農業政策だけでなく、ほとんどがこんなモノサシの中にあるのだから、これも仕方ないという考えも分からないではない。
でもな、農業だけでもその流れから外れなければと思うんだよ。少しでもこの風潮に抗って行きたい。そこに農業の未来だけでなく、いのちの世界の可能性が広がっているように思えるからだ。そう思う者がまず率先して草を刈り、この美しい田園風景を守っていくことだべな。どうだべ?ご同業。

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