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▼スマホ

 妻の携帯(いわゆるガラ携)が壊れたので、スマホを買いました。ショップに行って、説明を聞いて購入するまで2時間もかかりました。妻は途中で完全に店員の説明が理解できなくなり、ほぼ言いなり状態。横で聞いていた小生は、「これはほとんど詐欺だ。」と思いました。かなり物騒な表現ですが、今の携帯電話会社は、組織的に詐欺的商法をしていると思いました。
 小生がスマホを購入した時も、わからない言葉、新しい情報が次々に店員の口から出てきた。いちいち説明を聞いていたら日が暮れそうになると思ったので、適当に相槌を打って早く帰ろうと思ったのですが、やはり1時間はかかってしまいました。
 ショップの店員の説明を聞いて理解できる人間が何人いるのだろう。よほど、頭がいいか、相当な携帯の知識、パソコンの知識がないと1回で理解できる人間はそうはいないでしょう。小生も毎日患者さんに病気の説明をしますが、医学の知識がない人に説明をして1回でわかる人なんてほとんどいません。むしろ、わかった気になって誤解して帰る人が圧倒的に多い。何度か説明して何とかわかってもらえるというのが実情です。スマホの場合も、医学的説明がわからないと同様にわからないまま、ほとんどの人は、初回で購入を決めてしまい、わからないままに、何万円の購入に契約のサインをしてしまう。これを悪徳商法と言わずしてなんというのでしょう。
さらに、スマホにはガラ携にあったような満足な説明書もなく、不必要なアプリがいっぱい付いていて、次々にアップデートを要求してくる。これは、使用者のための道具ではなく、スマホや、ソフトを作る会社が儲けるための道具だと思いました。商品はその第1の目的として、購入者の利便のためにあるべきであり、第2の目的としてその生産者の利益のためにあると思います。スマホは、その逆です。こういう商品は、詐欺的商品というべきでしょう。スマホに代表されるようにIT関連企業は、ただ自分が儲けるためだけに人々を扇動し、次々に目先の変わった高い商品を購入させている気がしてならない。もしそうなら、彼らは、猛省すべきでしょう。
 医学の世界で外科医にとって良い手術とは、ある一部の神の手を持つ医師(そんな奴は本当はいない。マスコミが勝手に持ち上げて、持ち上げられた人間もその気になっているだけの輩だが。)だけにしかできない手術を言うのではありません。普通の外科医ならだれでも比較的平易に安全にできる手術がいい手術なのです。それで、多くの患者の利益になる。一人の医師にしかできない手術では、救える人間はたかが知れている。皆の利益にはならない。そのような良い手術を生み出すために医者は努力を続けるのです。商品も同じです。話を聞いて使い方がさっぱりわからないような、無駄な機能がたくさんついた、料金体系までもが複雑な商品は悪い商品です。皆が買ってしまうのは、売り手側が、いかにもそれが新しく、トレンディで、買わないと時代に乗り遅れるような錯覚を起こさせて、消費者にいい商品であると思い込ませるよう扇動しているからです。
ガラ携の時もわからない言葉、初めて聞く事ばかりで大変だったけど、スマホの比ではなかった。今にして思えば、ガラ携で充分。現在はほとんどのショップで、ガラ携は、陳列棚の隅っこに申し訳なさそうに置いてあるだけ。これでは、より高い無駄な商品を買えとほとんど強要しているようなものです。
今や、電話、メールは現代社会に必要不可欠なものになっています。であるからして、それをつかさどる機器は、より簡単な操作性を追求すべきであるのに、方向が反対を向いている。「じいさん、ばあさんにも使いやすいものを主体に作れ。」と言いたい。日本は超高齢化社会で、圧倒的に65歳以上の老人が多いのですから。
「悪貨は良貨を駆逐する。」ということわざがあります。人間社会においてはこの現象は仕方のない事なのかもしれないですね。
資本主義社会では、次々にお金が社会の中で回転していかないと不景気になり、社会が停滞します。国民を次々に目新しいものに飛びつかせてお金を巻き上げ、お金を回らせようという政策にスマホはぴったりの商品なのでしょう。
でもやはり、小生から見ると前述したようにスマホには余計なアプリがついて、無駄な時間、怠惰な時間を人間に強要しているように思えます。さらに町なかで多くの人間が下を向いてスマホをいじりながら歩いているというのは、異常な光景ですよ。危険でさえあると思います。

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